沼田エフエム放送株式会社は、平成11年に利根沼田地域の行事食を後世に伝えることを目的とした『ふるさとの行事食』を出版し、本書の出版のみならず、地域唯一の放送メディアとして番組や地域交流を通じて利根沼田地域の食文化の今日を伝えてきました。
本事業では、「ぶちたたかっしゃい」「つじゅう団子」「繭玉」の文化的価値を明確化し、地域の今と未来を繋げる 郷土食・食文化を守り、継承していくことを目的とします。
食文化の継承・食育の発展・食を通じた交友は、郷土文化を知り、郷土愛に繋がるはずであり、また「日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録され、日本の和食文化が世界的にも注目を集めているように、利根沼田地域の食文化の価値向上を図り、消費拡大へと繋がる事業として推進を行います。
最終的に、本事業で取り扱う利根沼田地域の粉食文化を無形の民俗文化財として国登録を目指します。
小麦粉をこねた生地の中にみそとネギを入れて丸め、いろりで焼いて灰の中に埋めました。来客があると掘り出し、「ぶち、たたかっしゃい」と言って、いろりの縁でたたいて灰を払い落として食べるように勧めたことから名付けられたと言われています。
つじゅう団子は、川場村の一部地域で稲刈り後に作ったとされ、脱穀の際にこぼれ落ちた土付きのもみも無駄にせず、粉にして拳状の団子を作り、串に刺して魔よけとして玄関などに飾りました。子どもたちが家々の団子をもらいに回りましたが、現在は行われなくなっているといいます。
繭玉は小正月に繭の豊作を願って神棚などに飾った行事食です。米粉で作った団子16個をミズキやヤマグワの枝に差して神仏に供えました。
“ハレ”とは「晴れ/霽れ」、“ケ”とは「褻」と書きます。ハレ(晴れ)は冠婚葬祭や年中行事などの特別な日をさし、ケ(褻)はそれ以外の普通の日常的な生活をさしており、“ハレとケ”という生活バランスをとるテクニックを日本人は伝統的に持っていました。
「ハレの日」は特別な日なので、普段そんなに口にすることができない肉やお酒、豪華な料理がならび、着るものや化粧まで特別にするのが習わしでした。今でも「晴れ着」や「晴れ舞台」、「晴れの門出」など、お祝い事や記念日などに用います。「ケの日」はいつもの日常なので、朝起きて仕事をし、ご飯とみそ汁、ちょっとのおかずと漬物程度の食事をして寝る、というほとんど同じ毎日の繰り返しです。もちろん「ハレの日」はそうそうないため、ほとんど毎日「ケの日」です。
しかし、さすがに「ケの日」ばかりでは気分も滅入ってしまいます。そこで定期的に飲めや歌えやの宴をおこない、 「ハレの日」を通じて気晴らしをし、疲れたカラダと心を回復させていたのです。
この「ハレとケ生活」が、日常は質素な食生活で健康を保ち、たまの呑み食いでストレスを溜めないという、絶妙な生活バランスだったのです。この極めて合理的で持続可能な生活様式に根ざした「粉文化」が滅び行く現状を憂い、もう一度詳細な調査を行い、見直し、伝承されていくことを願い、郷土愛へと繋げていくことを目的とします。
日本語版 | 食文化ストーリー創出発信 (PDF形式 2頁 1.6MByte) |
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English edition | Promotion of the Creation of Food Culture Stories (PDF Format, 2 Pages 1.5MByte) |
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日本語版 | ぶちたたかっしゃい・つじゅう団子・繭玉調査報告書 (PDF形式 104頁 6.9MByte) |
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English edition | Research Report on Buchi-tatakasshai, Tsuju dango, and Mayu dama cocoon balls (PDF Format, 104 Pages 5.3MByte) |
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